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PK/PD試験における高感度イムノアッセイ

高感度イムノアッセイは、薬物動態学(PK)と薬理学(PD)の試験において低濃度の薬剤を測定するうえで重要です。高感度イムノアッセイ技術を使用したPK/PDプロファイリングに関するさまざまな事例をご確認ください。

高感度イムノアッセイがPK/PDプロファイリングに必要な理由

従来の方法ではPK/PDプロファイリングの能力に限りがあり、一部の薬剤ではクリアランスプロファイルを明らかにできないことがよくありました。さらに、マイクロドーズ試験のような低濃度で投与された薬剤の測定能力にも限界があります。高感度イムノアッセイを使えば、より低濃度の薬剤を検出でき、より完全なPK/PDプロフィルが可能になります。また、従来のイムノアッセイ法では検出できない予測不能なクリアランスパターンの同定も可能になります。

PK/PD試験のための高感度SMC™イムノアッセイ

PK/PD試験のための1分子カウント(SMC™)高感度イムノアッセイ製品およびサービスは、製薬、臨床、およびライフサイエンスの研究を推進します。特許取得済みのSMCxPRO®イムノアッセイシステムは、fg/mLの濃度で1分子を測定する革新的なデジタル技術です。このプラットフォームを使用した幅広いダイナミックレンジの高感度イムノアッセイにより、健常者におけるベースラインのバイオマーカー濃度の測定と、治療に対する応答の識別が可能になります。

事例

これらの事例では、高感度SMC™イムノアッセイを使用したPK/PDプロファイリングについてご説明します。

抗IL-13療法に伴うIL-13クリアランスの評価

現状:

  • IL-13は喘息性炎症に関与するTh2サイトカインです
  • 抗IL-13療法は、自己免疫疾患の治療のために開発されています
  • PK/PDおよび作用機序(MOA)の試験には、循環血液中のIL-13濃度の正確な測定が必要です

課題:

  • IL-13の定量には、従来のイムノアッセイ法やELISA法を上回る感度が求められます(循環血液中濃度1 pg/mL以下)。

解決法:

  • より高感度なアッセイでIL-13を定量1
    • SMC™アッセイにより、臨床試験母集団(n=182、3コホート)のベースライン測定の定量が可能になりました
    • 健常および喘息被験者のベースラインの99パーセンタイルカットオフ値は、すべて1 pg/mL未満でした。これは、ELISA法では測定できません
  • 軽度アトピー安定喘息被験者における抗IL-13 モノクローナル抗体の投与前後のモニタリング2
    • 抗IL-13療法のためにIMA-026抗体およびIMA-638抗体を評価しました。いずれも、IL-13が結合する異なる受容体と競合します。
    • SMC™ IL-13アッセイ(LLOQ = 0.07 pg/mL)により、抗体およびプラセボ投与被験者の血清IL-13濃度の長期的測定が可能になりました(表1
    • ELISA(LLOQ = 9.8 pg/mL)では、抗体またはプラセボ投与被験者の完全なプロファイルを評価できません(図1
薬物動態グラフは、ELISA(9.8 pg/mL)よりもSMC™アッセイ(0.07 pg/mL)のほうがLLOQが低いことを示す。

図1.薬物動態グラフは、ELISAよりもSMC™アッセイのほうがLLOQが低いことを示す。

ラットおよびイヌにおける血清cTnlの完全なPKプロファイル3

現状: 

  • 広範な心筋細胞の損傷によらない血清中の心筋トロポニンI(cTnI)のわずかな上昇は、従来のアッセイでは感度が足りないために(LLOQ~30 pg/mL)、十分に評価ができませんでした 
  • 一過性または軽度な心筋細胞の損傷では、多量かつ持続的にcTnIを放出しないため、治療による一過性の上昇を限られたサンプリング回数で特定することは困難です 

課題: 

  • 血清中cTnIのベースラインからのわずかな上昇は、ヒトの心筋関連死亡のリスク上昇と相関があることを示すエビデンスが示唆されています 
  • ラットやイヌの血清中cTnIのベースライン濃度を確立してモニタリングできることは、開発中の治療用化合物の心血管に対する安全性を評価するうえで不可欠です 

解決法: 

  • 1~9pg/mLのcTnIのベースライン濃度をSMC™ Human cTnI High Sensitivity Kitを用いて検出しました(これまでの別のcTnIアッセイでは検出不能でした) 
  • 静脈内投与(IV)後、血清中cTnIは二相性を示しました 
  • 軽度な心筋細胞損傷の後に予測されるcTnI濃度と同等の低用量cTnIを投与し、完全なcTnIプロファイルを明らかにしました 
  • 投与後1時間以内で cTnI濃度は従来のアッセイのLLOQを下回ります
2コンパートメントモデルで解析したWistar HanラットのcTnIの薬物動態を示すグラフ。300 μLのラット血液サンプルを複数の時点で採取し、cTnIを測定。○は、個々のラットの血清中cTnI濃度を示す。

図2.Wistar HanラットにおけるcTnIの薬物動態を、2コンパートメントモデルで解析。 300 μLのラット血液サンプルを複数の時点で採取し、cTnIを測定。○は、個々のラットの血清中cTnI濃度を示す。

2コンパートメントモデルで解析したビーグル犬のcTnIの薬物動態を示すグラフ。○は、個々のイヌの血清中cTnI濃度を示す。各線は、同じイヌの投与後の血清中cTnI濃度を示す。数値は平均値とSDで報告。

図3.ビーグル犬のcTnIの薬物動態を、2コンパートメントモデルで解析。 ○は、個々のイヌの血清中cTnI濃度。各線は、同じイヌの投与後の血清中cTnI濃度を示す。数値は平均値とSDで報告。

PK/PDにおける高感度の利点

SMC™高感度イムノアッセイにより、低治療指数の医薬品開発に新しい展望が開きます。

この高感度の利点を以下に示します:

  • 低用量で価値の高いPK/PDデータ 
  • 低用量で治療指数を最適化(図4
  • 安全性と有効性の明確な理解 
  • 情報に基づく第I/II相試験の継続/中止の判断
  • 人員と開発コストの削減
副作用を最小限に抑えながら目的の効果が得られる薬剤の治療域の用量範囲の例を示すグラフ。高感度測定により、低治療指数の薬剤の最小有効濃度と最小毒性濃度のわずかな差を検出。

図4.高感度測定により、低治療指数の薬剤の最小有効濃度と最小毒性濃度のわずかな差を検出。

SMC™高感度イムノアッセイプラットフォームにより、非常に低濃度の薬剤を検出することができ、関連のある生物学的意義を発見できます。従来のPK法では検出できないことがあり、この手法はマイクロドーズ試験にとって重要です(図5)。 

完全なPKプロファイルを得るために、より低濃度の検出が必要であることを示すマイクロドーズ試験の例を示すグラフ。Singulex<sup>®</sup> Inc., Alameda, California.2013.

図5.完全なPKプロファイルを得るために、より低濃度の検出が必要であることを示すマイクロドーズ試験の例。Singulex® Inc., Alameda, California.2013.

長年のサンプル測定の経験を持つメルクのSMC™カスタムアッセイ開発グループが、お客様の免疫原性アッセイの開発、例えばカットポイント解析、ADAサンプル測定、PK/PD解析、およびキット製造(ISO 9001)などをお手伝いします。

お客様の医薬品開発アプリケーションに適したアッセイの開発について、homebrewキットおよび試薬の幅広いラインナップをご覧ください。

参考文献

1.
St. Ledger K, Agee SJ, Kasaian MT, Forlow SB, Durn BL, Minyard J, Lu QA, Todd J, Vesterqvist O, Burczynski ME. 2009. Analytical validation of a highly sensitive microparticle-based immunoassay for the quantitation of IL-13 in human serum using the Erenna® immunoassay system. Journal of Immunological Methods. 350(1-2):161-170. https://doi.org/10.1016/j.jim.2009.08.012
2.
Gauvreau GM, Boulet L, Cockcroft DW, FitzGerald JM, Carlsten C, Davis BE, Deschesnes F, Duong M, Durn BL, Howie KJ, et al. 2011. Effects of Interleukin-13 Blockade on Allergen-induced Airway Responses in Mild Atopic Asthma. Am J Respir Crit Care Med. 183(8):1007-1014. https://doi.org/10.1164/rccm.201008-1210oc
3.
Dunn ME, Coluccio D, Hirkaler G, Mikaelian I, Nicklaus R, Lipshultz SE, Doessegger L, Reddy M, Singer T, Geng W. 2011. The Complete Pharmacokinetic Profile of Serum Cardiac Troponin I in the Rat and the Dog. 123(2):368-373. https://doi.org/10.1093/toxsci/kfr190
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